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コラム

2022.04.01

UXで人は動くのか?

ソリューション

Chief Promotion Director:橋口 敬輔

わたくし、この4月より戦略デザイン本部の責任者となり、当部門のミッションを改めてお伝えしたいと思い、こちらのブログを書かせていただきました。
が…後から読み返すとプロモーションと向き合っている方なら、だれもが思っていることなのでは?果たしてこの内容でその思いが伝わるか?と不安に感じ、
見苦しくもこのような前書きを付け足させて頂いた次第です。

ご一読いただき「千修ってこんなことも考えているんだ」と感じていただければ幸いです。以下、本文ですが、気持ちが溢れ、語気が強めになっておりますことご容赦ください(笑)

UXで人は動くのか?

最近のプロモーション関連の情報には”experience”というワードが氾濫しています。

特にデジタルマーケティングの世界では、もはやUXを意識することは当たり前で、その手法も実に多彩なバリエーションが生み出されています。

しかし、UXで提供されるexperience/体験で人は本当に動くのでしょうか?

この手の話題で必ず出てくるのは“体験の質”について。

体験なら何でも良いわけではなく、いかに共感を生み、印象に残る体験を提供するかが重要となってくるという話です。これはもっともな話であり、実際そのために各社が様々な工夫を凝らしています。

しかし、極めて個人的な見解を述べさせていただくと、デジタル上で展開されているUX施策の多くは非常によく考えられた情報提供方法ではあります。が、その多くは「体験する」という、言葉から連想できるような心の変化を実現出来ておらず、人を動かすには至っていないのでは?と感じます。

問題となるのは…

ここでポイントは2つ

まず人を動かすような「体験」とはどんなものなのか?

私は仕事でよく「感動」という言葉を使います。

ここでいう感動とは涙を流し、我を忘れて感情をあらわにするような仰々しいものではなく、シンプルに心を動かすという意味。

ちょっとした興味深さ、美しさ、気遣い等にふっと心が動くこと。

広告プロモーションの仕事で目指すところは、いわゆるこの「感動」です。

そしてこのような「感動」を提供できる体験こそが人を動かせるものだ、と私は思っています。

もう一つは「デジタル上で展開されている」という点。

UXはとりわけデジタルマーケ上で使われることが多いので、ある意味当たり前ともいえますが、あえて「デジタル上で」と言わせていただきました。

世の中には、うまく機能しているUX施策も当然ながら非常に多くありますが、その多くはデジタルだけでなく、様々なチャネルを巧みに活用しています。

私もUX施策が非常に効果的なものであるという点に、疑いの余地はありません。しかし、その展開方法に改善の余地ありと思わせるものは多く、誤解を恐れずに言うと、もはやWEBデザイン手法の1つ程度になっているケースも散見されます。

デジタルの強みと弱み

ここまでくれば解決方法はいたってシンプルで、UXは様々なチャネルで展開すればより効果的だということになりますが(実際にはその手法、アイディアを生み出すのは決してシンプルなものではありません)、

裏を返せばこうとも言えます。「デジタルはこういった感情的エモーショナルな部分においては今後さらなる進歩改善が期待できるが、現状ではまだ未成熟と言える側面がある」ということです。

タッチポイントという点において、もはやデジタル施策の優位性は言うまでもないことであり、実施のしやすさと言った点からも、デジタル施策がプロモーションの主流になりつつあることは明確です。

しかし今も昔も各々のチャネルにはそれぞれメリットデメリットがあり、それをうまく使いこなすことが重要なことに変わりはありません。

そして最も重要なことは、UXという手段の実現を目的とするのではなく人を動かすという目的の実現のために最適解を生み出すことこそが、真の目標であるのを忘れないことです。

プロデューサーからひとこと

デジタルマーケ盛況の今こそUXが重要だ、ではなくUXはデジタルがあってもなくても重要なことであり、決してデジタル施策の専売特許ではないという点を忘れないでほしいと思います。

そしてUXで人を動かすためにはデジタルとリアルをシームレスに捉え、巧みに使い分け「感動」できる体験を提供することが重要です。また、UXに限らずあらゆるプロモーション施策においてこのような取り組みを具現化させて行くことこそが我々戦略デザイン本部のミッション、プロモーションのプロフェッショナルとして成すべきことだと考えています。

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