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コラム

2024.10.25

改正景品表示法が2024年10月に施行!なにが変わる?

販促

2024年10月1日より、改正景品表示法が施行されました。これにより、広告表示の違反時の処遇が変化しています。巷では「法規制が厳しくなった」との声も挙がってきており、広報活動を行う事業者はとくに注意しなければなりません。今回は、新しくなった景表法を理解したい方に向けて、改正景品表示法における変更内容を解説します。

景品表示法とは

企業が販促活動を行う上で知っておかないといけない法律の一つが景表法です。正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」ですが、一般的には「景表法」として知られています。
景表法とは、商品やサービスの内容を偽った表示や誤解を招く表現を規制し、消費者の利益を保護する目的として制定された法律です。今回、「不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律」として、公布日2023年5月17日で、施行日2024年10月1日に改正が実施されました。

今回の改正の内容は、大きく分けて以下の3点です。

  • ●事業者の自主的な取り組みの促進
  • ●違反行為に対する抑止力の強化
  • ●円滑な法執行の実現に向けた各規定の整備等

上記の具体的な内容は後述します。

改正景品表示法が制定された背景

改正景品表示法が制定された背景には、ネット環境の普及に伴って消費行動が大きく変化したことがその一端として挙げられます。一昔前と比べ、スマートフォンやSNSといったインターネットでの消費活動が活発化しているのです。これまではインターネットの浸透に法整備が追いつかなかったため、今回の改正が制定されたとされています。2023年10月に施行されたステマ規制も、その一環です。

今回の改正におけるポイントをかいつまんで言うと、「罰則が強化された一方で、意図せず違反してしまった場合の救済措置も盛り込まれた。」ということです。既に改正内容は適用されているため、販促担当の方は、この機会に改めて内容を確認してみましょう。
本改正は、「商品・サービスの取引の現況から、事業者の自主的な取り組みの促進・違反行為に対する抑止力の強化・円滑な法執行の実現に向けた各規定の整備等を講じ、消費者の利益の一層の保護を図ること」が目的です。つまり、消費行動を最適化するために、事業者の取り締まりを強化しているわけです。

今回の改正内容は2024年10月1日に施行されていますが、景表法は2014年以降改正が繰り返されています。もともと、同年11月の改正の際、施行から5年後の見直し検討がアナウンスされていました。消費者庁では2022年3月から10回にわたって景表法について協議され、2023年1月に報告書が公表されました。今回の改正法はこの報告書を基に作成されています。

改正景品表示法の主な変更点

ここからは、景品表示法改正における変更点について解説します。これからの広告運用のコンプライアンス遵守のために、以下の点に留意しましょう。

①事業者の自主的な取り組みの促進

「事業者の自主的な取り組みの促進」の内容は、主に以下の2つです。

  • ●確約手続の導入
  • ●課徴金制度のにおける返金制度の弾力化

確約手続とは、優良誤認表示等をした事業者が、措置計画を申請して消費者庁長官の認定を受けることで課徴金を納めずに済む制度です。事業者側としては酌量の余地ができたため、今後、充分な対策を講じれば行政処分をされずに済むわけです。

課徴金とは、事業者が違反行為におよんだ際に課せられる制裁金です。景表法の違反においては、対象商品における過去3年間の売上のうち3%が徴収されます。なお、課徴金額が150万円未満の場合、課徴金は賦課されません。

今回の改正で、申し出があった消費者に対して返金を行うことで、返金した金額が課徴金額から減額できるようになりましたまた、消費者への返金対応では、電子マネーの使用が認められました。

②違反行為に対する抑止力の強化

「違反行為に対する抑止力の強化」の内容は、主に以下の3つです。

  • ●課徴金額の推計規定の新設
  • ●再犯事業者への課徴金額を加算する制度が新設
  • ●優良誤認表示や有利誤認表示に対し100万円以下の直罰が新設

先ほど説明したように、課徴金額は過去の売上額に基づいて計算されますが、事業者が売上額のデータを残していないケースもあり、売上額を把握できず課徴金を課すことができないこともあったようです。そこで今回の改正では、売上データがない場合は売上額を推計して課徴金の納付を命じることができるようになりました。

さらに、10年以内に課徴金納付命令があった場合は、課徴金額を1.5倍とすることができるようにもなり、課徴金による抑止力が強化されました。
上記の強化が実施された背景には、罰則の適用範囲が広がり罰則を厳しくすることで、違反の繰り返しを防止する目的があります。「課徴金さえ払えば問題ない」という事業者の認識や制度の悪用への対策ともいえるでしょう。

このほか、従来景表法に違反する表示をした際は直接処罰の前にまず措置命令が出され、改善されなかった場合に処罰されるという2段階のステップから、措置命令を経ずに直接罰金を科すことができるようになりました。「指摘されたら対応すればいいや」と、違反と知りながら優良誤認表示をする悪質な事業者のほか、アフィリエイターや広告代理店なども対象となり得ることから、一定の抑止効果があるとされています。

③円滑な法執行の実現に向けた各規定の整備等

「円滑な法執行の実現に向けた各規定の整備等」の内容は、主に以下の2つです。

  • ●外国事業者に対する法的措置のスピード向上
  • ●適格消費者団体による開示要請規定の導入

上記の「外国事業者に対する法的措置のスピード向上」は、具体的には送達制度(民事訴訟における書類通知のこと)の整備と、外国執行当局に対する情報提供と協力体制の構築です。これにより、外国事業者の違法な広告を迅速に規制できます。

もう一つの「適格消費者団体による開示要請規定の導入」とは、適格消費者団体は違反を疑われる事業者に対して根拠の開示を請求でき、事業者はそれに応じなければならないというものです。消費者庁によると、適格消費者団体は「不特定かつ多数の消費者の利益を擁護するために差止請求権を行使するために必要な適格性を有する消費者団体として内閣総理大臣の認定を受けた法人」のことです。

改正景品表示法の適応にお悩みの方は専門家へ相談しよう

2024年10月1日より施行されている改正景品表示法では、消費行動の安全性を確保するために、事業者の取り締まりが強化されました。その一方で、偶発的に生じた違法行為に関しては、ある程度の酌量の余地が許されています。販促活動を行う事業者や広告代理店の方は、改めて景表法の理解に努め、迷った場合には会社の法務部・外部の専門家・消費者庁の表示対策課指導係へ相談をするとよいでしょう。

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