2024.01.15
GA4とは?取り入れるメリットや導入・移行時の注意点を解説
ソリューション
2023年7月、多くのWeb担当者が愛用してきた分析ツール「ユニバーサルアナリティクス」のサポートが終了し、新たに「Google Analytics 4(GA4)」の利用が必要になりました。今回は、GA4の概要と導入のメリット、Web担当者が活用する際の注意点を解説します。
GA4には高度な計測・分析機能が多数搭載されています。GA4を理解することでアクセスツールの選定や導入のイメージがつきます。御社の課題解決に、ぜひ参考にしてください。
目次
GA4(Google Analytics 4)とは?
Google Analytics 4(以下「GA4」)とは、前モデルのユニバーサルアナリティクス(以下「UA」)を継ぐ、Google Analyticsの新たなバージョンです。
UAの計測サポートが2023年7月に終了したことから、現状ではGA4がGoogle唯一のアクセス解析ツールにあたります。ここでは、これから解析ツールの導入を検討している方に向けて、GA4の概要を解説します。
Google Analyticsについて
Google Analyticsは、Googleが無料で提供しているWebサイトのアクセス解析サービスです。主にWebサイトへ訪問してきたユーザーの情報を収集・分析して、Webサイトの最適化や高いコンバージョンの獲得を目的として使用されます。
Google Analyticsでは、シンプルなPV数の計測だけでなく、ユーザーが自社のページを閲覧した際の途中離脱率や広告のクリック率、ページをどこまでスクロールしたのかなどより詳細なデータを収集できます。
現状、Webサイトのアクセス解析には、Google Analyticsが用いられることがほとんどです。国内ユーザーの多くがGoogle Chromeを使ってWebサイトを閲覧している背景からも、互換性の高いGoogle Analyticsの利用が一般的といえます。
ユニバーサルアナリティクス(UA)は前世代のモデル
UAはGA4の旧モデルにあたるWeb解析ツールです。GA4の登場以前は、UAがWeb担当者のメインツールとして活用されていました。なお、UAは2023年7月をもってサポートが終了しているため、これから解析ツールを導入する場合はGA4でなければなりません。
UAの操作方法を説明しているWebサイトもまだまだ存在しているため、解析ツールの導入を検討する際はGA4とUAを混同しないよう注意しましょう。
GA4(Google Analytics 4)を導入するメリット
新たな解析機能を多数搭載しているGA4を導入することで、従来のUAでは難しかったさまざまなマーケティングプランの実行が可能です。そこでここからは、GA4に搭載された新機能や特徴を紹介しつつ、導入することでどんなメリットがあるのかを解説します。
Webのデータとアプリのデータを統合して計測できる
GA4では、Webサイトから独立したアプリケーションのデータ計測が可能です。従来のUAでは、基本的にWebサイトの分析のみが可能で、Webサイトと紐付いたアプリケーションのアクセス解析は別で行う必要がありました。
しかしGA4で新たに追加された「データストリーム」の項目では、Webサイトだけでなく、iOSやAndroidアプリケーションの計測も同時に対応できます。Webサイトからアプリまで横断的にデータを取得できるため、Web担当者による解析の効率化や、高度なデータ計測が可能です。
例えば課金システムがあるソーシャルゲームをブラウザ版とアプリ版で運営している場合です。GA4を活用すれば、ブラウザ・アプリ両方の同時アクセス数や課金ユーザーと無課金ユーザーの割合など、さまざまなデータを同一のプラットフォーム上で計測できます。
機械学習によりユーザーの今後の行動を予測できる
GA4には機械学習の概念が取り入れられており、蓄積データの傾向から予測指標を獲得する機能が搭載されています。例えば、ECサイトの場合は過去の購買データをもとに、アクセス数に対して顧客がどれくらいを目処に購入に踏み出すか予測が可能です。
デフォルトのGA4で予測できる指標は、主に以下の3点です。予測指標については、今後のアップデートや拡張機能の導入で新たに項目が追加されるかもしれません。
- ・購入の可能性
- ・離脱の可能性
- ・予測収益
GA4では今後28日間の見込み収益の予測もできるため、マーケティングプランの策定にかかる時間や労力を削減し、明確な見通しを持ってビジネスに臨めます。
ユーザーのプライバシーに十分配慮した分析が可能
GA4はツール内の設定によって、ユーザーの個人情報に対して自由に切り替えられる仕様です。例えばUAではデータ保持の期間に縛りはありませんでしたが、GA4では保持期間が最大14カ月に変更されました。
ユーザーの中にはリファラー情報やパーソナライズ広告、アプリのトラッキングなど足跡が残ることを嫌う人も一定数存在します。昨今のプライバシー保護やコンプライアンス遵守の観点からも、Webサイト運営としてはできるだけユーザーから信頼を獲得したいところでしょう。
GA4を活用すれば、Webサイトのプライバシーポリシーをより一層充実させられます。
高度な分析が無償で可能
GA4の特筆すべき点は、従来なら有償ツールを用いなければならなかったBigQueryへのデータエクスポートを無償で利用できるところです。BigQueryとは、Google Cloud Platformにて提供されている、ビッグデータを高速で管理・解析するツールのことです。
高度なデータ分析による意思決定や大量のアクセスを高速処理するには、BigQueryの存在が欠かせません。本来ならBigQueryは有償ツール「Google Analytics 360」の導入でのみ使用可能ですが、GA4ではデフォルトの状態で使えます。
GA4(Google Analytics 4)を導入するデメリット
GA4は2020年に実装されたばかりの比較的新しいツールです。テクノロジーの進化が高速化している昨今、今後も頻繁にアップデートされることが予想されます。そこでここでは、GA4を導入するデメリットについて解説します。
ユニバーサルアナリティクス(UA)との互換性がない
GA4は旧モデルのUAと互換性がないため、「データを引き継いでそのまま使う」といった手段が取れません。したがって、すでにUAを導入している場合はUAのデータ抽出とGA4への速やかな移行が求められます。
UAとGA4では、アクセス解析に用いる計測の起点が異なります。UAではセッションデータを基に計測していましたが、GA4ではページ遷移を伴わない計測、つまり「イベント」に統一されています。
両者でデータの出力方式が異なるため、UAのデータをGA4に適用させるには高度なデータ処理能力が求められます。自社にデータ分析の専門家がいない、もしくはデータの引き継ぎ作業が膨大な場合は、外部サポートを利用しましょう。
データの保持期間が短い
UAでは設定によってデータ保持期間を無制限にできますが、GA4ではプライバシー保護の理由から最大14カ月と縛りが設けられています。
保持期間を超えると、1カ月ごとにデータが自動的に削除されます。データを残しておきたい場合は定期的にダウンロードするか、BigQuery上で管理しなければなりません。
また、GA4のデフォルト状態の保持期間は2カ月に設定されています。導入の際は自社のプライバシーポリシーの要件に合わせて、適切な保持期間に設定しましょう。
今後も仕様の変更が考えられる
GA4は解析ツールとしては比較的日が浅く、ツールユーザーのレビューやWeb業界の動向に追随して今後もアップデートされることが予想されます。
基本的な中身が大きく変わるとは考えにくいですが、大型アップデートでUIが大幅に変更される可能性は0ではありません。したがって、ツールの利用にあたっては「使い方は変わるもの」「新しい機能が今後も増える」といった認識を持つ必要があります。
アップデート次第では、繁忙な既存業務やスキル不足により対応が追いつかないこともあるでしょう。自己学習が難しい場合は、専門家のアドバイスを受けるのが適応の早道です。
UAからGA4(Google Analytics 4)にアップデートされた理由は3つ
既存のUAのアップデートではなく、新たなモデルとしてGA4をリリースした背景には以下3点の理由が存在します。
- ・アプリの広がり
- ・Cookieの利用規制が強化
- ・ニーズの多様化
モデルチェンジのきっかけは、主にユーザーの情報収集手段やプライバシー情報の取り扱いの変化です。ここからは、上記の3つについて解説します。
アプリの広がり
昨今は、特定の情報を得る際にアプリを用いるユーザーが増加しています。
例えば料理の献立がその典型です。数年前ならキーワードを打ち込みWeb検索でレシピを探す方法が当たり前でしたが、最近ではInstagramを始めとしたSNSや料理専門アプリで探す方法が主流になりつつあります。
このように情報を得る手段が時代と共に多様化していることから、網羅的にアクセスデータを取得するためにWebサイトとアプリを横断できるサービスが必要とされたのです。
Cookieの利用規制が強化
プライバシー保護の観点からCookieの利用制限が強化されたのも、モデルが一新された理由の1つです。近年、インターネット活用に対する規制強化の動きが世界的に活発化しています。
例えば、2018年にヨーロッパで施行されたGDPR(EU一般データ保護規則)や、2023年に日本で施行された改正電気通信事業法が代表的です。
また、Cookieを始めとしたユーザーの情報が規制されたことで、従来のセッション起点のツールでは有効なデータの収集が難しくなっています。プライバシー保護と、適切なデータ収集の必要性から、GA4がリリースされました。
ニーズの多様化
ユーザーのニーズが多様化しているのも、理由の1つです。類似したサービスや商品が数多く存在している現代は「モノ余りの時代」とも呼ばれ、そんな中で市場シェアを獲得するにはニーズのキャッチアップが欠かせません。
見込み客の細かなニーズに対応するにはUAの解析機能では力不足になりつつあり、より高度な解析ができるツールが必要とされていたのです。
GA4(Google Analytics 4)の導入で可能になる施策
ここからは、GA4の導入で実現できる運営環境やマーケティング施策について解説します。
自社でアプリコンテンツ導入のハードルが下がる
GA4ではWebサイトとアプリを横断的に解析できるため、アプリコンテンツの導入に対するハードルが下がっています。
従来のアプリケーション管理には、専用の解析ツールとデータ解析に秀でた人材が必要でした。アプリの必要性を分かりつつも、リソース不足から導入に至れなかった企業も多いのではないでしょうか。
例えばECサイトの場合、専用アプリを導入することで販路拡大とリピート率の向上が見込めます。GA4を導入すれば、Webサイト解析とアプリ解析を兼用可能です。担当者に求められるスキルのハードルが下がるため、人材募集で抱える課題やブラウザ・アプリ両方のデータを個別に見比べる手間を解消できます。
離脱のデータから具体的な課題を洗い出し改善できる
離脱率とは、ユーザーの自社サイト全体へのアクセスが特定ページのセッションで終わっている割合です。離脱率が高ければ、自社のコンテンツでユーザーが満足しなかった、またはコンテンツに構造上の欠陥があった可能性があります。
GA4に離脱率の指標はありませんが、ツール上で確認できるパラメータ「離脱数」と「セッション」から計算可能です。ネガティブなデータは自社の課題を抽出できる貴重な存在です。GA4で入手できる各種データから、リライトやページUIのリニューアルなど、改善につなげられます。
ユーザー行動の予測から一歩先の施策を打てる
GA4では、機械学習の機能が搭載されており、ツール内でユーザー行動の予測が可能です。予測指標は、ビジネスにおいて先回りしたアクションを起こすきっかけを与えてくれます。
予測指標が離脱やアクセス減の予兆を検知した場合、事前にメールマガジンやサイト改善を行うことで顧客の取りこぼしを防げます。
まとめ
現代はビジネススピードの高速化とニーズの多様化が当たり前です。絶え間なく続くトレンドの変化に追いつくには、高度なアクセス解析ツールが欠かせません。
GA4はユーザーのプライバシー保護と詳細なデータ収集を可能にする、優れたツールです。Webサイトやアプリを活用するマーケティング戦略に、使わない手はありません。
弊社では、GA4の導入支援や、Web担当者が抱えるプロモーション課題をワンストップで解決するソリューションを提供しています。自社コンテンツに高度なアクセス解析を取り入れたい方やアクセス解析に悩んでいる方は、ぜひご相談ください。